研修オンライン化に失敗しないために3つのステップ?!

新型コロナウイルスの感染拡大により、集合型のセミナーや対面式研修をオンラインで実施する動きが急速に進んでいます。本日は、オンライン化に急遽舵を切られた企業様、中長期的な視点で集合型の研修形態をオンライン化へ移行検討されている企業のご担当者様向けに、Cindy Huggett氏がATDに寄稿した記事をお届けいたします。

世界中のあらゆる業界で、対面式トレーニングをオンラインへ移行しています。

2006年から2016年までの10年間で、対面式トレーニング時間の割合は70%から49%に減少し、オンラインの割合が大幅に増加しました。

人材育成協会「2017 State of the Industry」(産業界の現状2017) によると、ファシリテーター主導のオンラインプログラムは、現在ではトレーニング全体の10%を占めるようになっています。また、2017年のATDの調査レポート「Virtual Classrooms Now」(オンラインクラスの現状)によると、全組織の86%がすでにオンライントレーニングを利用しているか、間もなく開始する予定であることが明らかになっています。

このことは、従来の対面式プログラムにどのような影響があるのでしょうか?実は、従来の教室で行われていたプログラムが完全になくなるわけではなく、多くの組織ではオンラインプログラムとして再利用しています。また、オンライントレーニングはプログラムの範囲を拡大しており、従業員が研修受講のために仕事を中断する必要がないため従業員の生産性を向上させます。

対面式プログラムをオンライン化しても、配信方法が変わるだけで学習成果の期待値は変わりません。参加者が新しいスキルを学び、実践することが重要であることに変わりはありません。では、どのように学習を成果に結びつけるのでしょうか?

3つのステップでよくある間違いを回避して、集合研修のオンライン化を成功させましょう。


3つのよくある間違い

1つ目の間違いは、インストラクターが指導する対話式プログラムをプレゼンテーションスタイルのウェブキャストに変えてしまうことです。

プログラム変換に十分時間が割けていない場合や、プログラムを再利用して効果的なプログラムに再設計できる経験者がいない場合に起こります。プログラムのスライドを取って捨ててしまいたくなるかもしれませんが、そうならないようにしましょう。

プレゼンテーションではなく、トレーニングプログラムを変換していることを念頭に置いてください。参加者がいるからといって、ライブのオンラインクラスが講義になるとは限りません。アダルトラーニングに関する知識や、参加者の巻き込みを忘れないようにしましょう。このガイドラインは、バーチャルを含むあらゆるタイプのトレーニングに適用されます。バーチャルトレーニングのデザインは対面式同様、参加者を惹きつけるインタラクティブなものでなければなりません。


2つ目の間違いは、8時間のインストラクター主導の対面式プログラムが、そのまま8時間のオンラインライブセッションになると考えていることです。

実際には、1分間の授業時間と1分間のバーチャル時間は同じではありません。

ほとんどのオンラインライブクラスは60分から90分です。つまり、8時間のクラスは自習型のアクティビティとファシリテート型のアクティビティが混在した、より小さな時間の塊に分割されます。また、オンラインプログラムでは活動時間も異なります。

対面式のクラス、特に長時間のクラスをオンライン化する場合は、アクティビティを省略して時間を短縮する必要があることを念頭に入れておいてください。すべてのアクティビティを省略できるわけではありませんが、テクノロジーを活用することでより有効にアクティビティにかかる時間を短縮できます。

例えば、対面式のクラスでは参加者が一人ずつ部屋を回って自己紹介をすることになるかもしれません。しかし、オンラインクラスでは、参加者はチャットウィンドウに自己紹介を入力することができます。対面での自己紹介は20分以上かかりますが、オンラインチャットでの自己紹介は2分で済みます。

一方、対面式クラスでビデオを上映する場合、ファシリテーターは照明を落として「再生」をクリックするだけです。しかし、オンラインクラスでは、ファシリテーターはビデオを配置、ビデオの再生方法を説明、全員の電話回線をミュート、技術的な問題が発生した場合の指示を出すなどの必要があります。


3つ目の間違いは、オンラインライブクラスの参加者数を増やしてしまうことです。

従来の対面式のトレーニングクラスのほとんどは、少人数の参加者を対象に設計されています。テーマやその他の要因にもよりますが、通常プログラムの参加者数は10人から25人です。

オンラインライブクラスと同じように、参加者数を大幅に増やしたいという気持ちに抗うのは難しいでしょう。しかし、オンラインクラスに何百人もの参加者を入れることができるからといって、そうすべきはありません。

大人数の参加者でもインタラクティブなセッションを行うことは可能です。しかし、研修クラスとなれば少人数制のダイナミックさを失うことになります。さらに重要なことは、トレーニングデザインが少人数向けであるにもかかわらず、それをそのまま大人数向けに適用してしまうと意図した学習成果が得られないということです。

トレーニングクラスをオンライン環境に移行する際に、より良いオンラインレーニングのデザインを選択することで、このようなよくある間違いを回避できます。どのようなミスを避けるべきかを把握したうえで、従来のトレーニングをオンラインクラスに移行する方法を学びましょう。


3つのステップ

従来の集合研修をオンラインにするには、3つの簡単なステップがあります。


学習目標を考えることから始めましょう

次の質問に対する答えを確認しましょう。

セッションの最後に学習者は何を学び、何をする必要があるのか?どのようなスキルを身につけるべきか?どのような行動の変化があるべきか?学習者は何をし始める必要があるのか、どんなことをやめる必要があるのか?

次に、どの学習目標がオンラインクラスに適しているのか、どの学習目標が事前学習や事後活動に適しているのかを判断します。

学習者がタスクを進めるために、ファシリテーターのサポートが必要なのか、それとも自分で学習できるものなのかを考えてみてください。

例えば、参加者は個人でケーススタディを読んでからクラスに参加し、それについて少人数のグループで議論することができるでしょうか。あるいは、クラスに参加して、事前に個人で視聴したデモビデオのロールプレイができるでしょうか。

対面式プログラムの構成要素をオンラインクラスに変える最大の利点の一つは、うまく設計されたブレンデッドカリキュラムに分解できることです。柔軟性があり、全体的な学習体験が向上します。

あなたのプログラムは分割でき、さまざまな方法で組み立てることができる積み木の集合体だと考えてください。クラスをトピックやセクションで分割し、参加者や学習ニーズに最も適した方法で組み立て直すことができます。


各学習目標に最適なアクティビティを選択します

どの学習目標がオンラインライブに属するかを決定したら、次のステップはそれぞれに最適なアクティビティを選択することです。

バーチャルプログラムにおけるアクティビティの選択は、従来のトレーニングクラスのプロセスに似ています。異なるのは、ツールがオンラインプラットフォームで利用できるツール(チャット、投票、ホワイトボード、ブレイクアウトグループ、ファイル転送、注釈など)になることだけです。

従来のトレーニングクラスのアクティビティの中には、簡単にオンラインライブに変換できるものがあります。

例えば、ペアで議論するアクティビティをオンラインのペアチャットアクティビティにできます。また、チーム間での競争を、投票を使用したオンライン競争に変えることもできます。あるいは、小グループでのブレーンストーミング・セッションをブレイクアウトアクティビティにすることもできます。また、ライブのソフトウェアのデモンストレーションは、画面共有を通じた仮想のデモンストレーションになるかもしれません。

テクノロジーツールの使い方は、あなたの想像力と創造力次第で活用できます。

例えば、通常対面式のクラスで参加者から別の参加者にボールを投げる行為を、バーチャル教室ではどのようにできるかを考えてみてください。

チャットウィンドウに名前を入力して最初の人を選び、その人に次の人を選んでもらうなどして、全員が選ばれるまで続けることができます。

また、参加者が利用可能なオンラインツールを全て利用する方法についても考えてください。ワークシートの取組が終わったことを知らせるために、参加者に「挙手」してもらいます。質問をするときは、チャットで記入するように参加者に指示します。グループ活動では、参加者の知識を確認したり、あえて難しい質問を作成して考えさせたります。


ツールと対話で参加者を巻き込みます

バーチャルトレーニングの最大のメリットは、参加者が自分のワークスペースを離れて授業に参加する必要がないことです。同時に最大の課題でもあります。気が散ることが多く、参加者は内職を始めてしまいます。

インタラクティブなデザインは、この課題を克服するための最良の方法の一つです。少なくとも4分ごとに参加者を巻き込むようなプログラムを作成することで参加者の注意を画面に集中させ、気が散らないようにします。

もちろん、参加者を忙しくすることが目的ではなく、学習に参加させることが目的です。インタラクティブなクラスをデザインする際には、クラスのすべてが学習成果に繋がるようにしましょう。

バーチャルセッションでは、特に始め方に注意を払いましょう。

最初の数分間が勝負です。そこで参加者はそのまま参加し続けるか、他のことに注意を向けるかを決定します。クラスの最初の数分間を有意義で魅力的なアクティビティに設計することで、参加者は最高のスタートを切ることができ、インタラクティブなセッションに積極的に参加してくれるでしょう。


最後に

よくある質問としては、長時間の対面授業をどのようにバーチャルに変えられるかについて、

2週間のオリエンテーションプログラムに取り組む場合、どう始めればいいのでしょうか?あるいは、6週間のシリーズはどうでしょうか?

どちらの場合でも必要なプロセスは同じです。

学習目標を考え、最適なアクティビティを選択し、オンラインに参加してもらいます。トレーニングクラスを少人数の複数グループに分割することがほとんどでしょう。

2週間のオリエンテーションを10回のオンラインライブセッションとし、その間に課題を設けることもできます。6週間の場合は、短期の対面式クラスにして、フォローアップのバーチャルセッションとオンザジョブコーチングを加えたものにすることもできます。参加者自身が学習に積極的に参加してくれれば、可能性は無限大です。

さらに、バーチャルクラスのアクティビティを順序立てて行う際には、良いデザイン設計の原則を忘れないでください。「導入、実践、応用」というパターンを作り、セッション中に繰り返すようにしましょう。参加者の興味を持続させるため、さまざまなインタラクティブな演習を使用したり、テクノロジーツールを創造的に使用したりします。論理的な順序に沿って参加者を頻繁に巻き込むことで、参加者の学習を助けることができます。

オンライントレーニングはより多くの学習者に届けることが可能なため、プログラムの提供を拡大するには効果的な方法です。最適なステップを踏んでよくあるミスを回避することで、オンラインクラスでの成功を収めることができます。


アクティビティを選択する際には、組織内のITリテラシーと参加者のテクノロジーレベルを考慮してください。オンラインクラスのデザインの一部は、これらの技術力(または制限)によって決定されます。

例えば、参加者にデモを見てもらいたいが、インターネットの帯域幅が遅くビデオをストリーミングできない場合は、スクリーンショットなど別の方法でデモを表示する必要があります。

あるいは、小グループで参加者に練習をさせたいが、組織が利用するウェブ会議プラットフォームがブレイクアウトグループをサポートしていない場合もあります。その場合は、バーチャルクラスの後に小グループで集まり、次回は大グループで報告するようにトレーニングプログラムを設計することもできます。

トレーニングのニーズに合ったテクノロジーを確保するために、組織のIT部門と密に連携して、適切なオンラインクラスプラットフォームを選択して実装します。



Cindy Huggett氏について

シンディ・ハゲット(CPLP)は、独立系コンサルタント、プロの講演家、インストラクショナルデザイナー、クラスのファシリテーター、そして職場のトレーニングと開発を専門とする著者です。25年以上の経験を持つシンディは、ほぼすべての業界や規模の大きな組織において、カリキュラムのデザイン、クラスのファシリテート、トレーニングの展開を成功させてきました。クライアントと協力して対面式からオンラインクラスへの移行を支援し、オンラインおよびブレンデッドラーニングのソリューションを設計しています。

シンディは、バーチャルトレーニングに関する3冊の本の著者です。Virtual Training Tools and Templates: An Action Guide to Live Online Learning (2017), The Virtual Training Guidebook: How to Design, Deliver, and Implement Live Online Learning (2013), and Virtual Training Basics,の3冊の著書があります。共著に「Simple, Effective Online Learning」(2008年)と「Designing for the Virtual Classroom」(2009年)があります。また、「ASTD Handbook: The Definitive Reference for Training & Development」(2014年)や「101 Ways to Make Learning Active Beyond the Classroom」(クラスルームを超えて学習をアクティブにするための101の方法)などを含むいくつかの編纂物にも寄稿しています。TDマガジンにも記事を執筆しています。

シンディは、ピッツバーグ大学で公共・国際問題の修士号を、ジェームズ・マディソン大学で学士号を取得しています。また、ATDナショナル理事会の元メンバーでもあり、CPLP(Certified Professional in Learning and Performance)の資格を最初に取得した一人でもあります。シンディは、ツイッターでトレーニングのヒントを@cindyhuggとして発信しているほか、彼女のウェブサイトwww.cindyhuggett.comでもトレーニングのヒントを発信しています。


参考記事:

https://www.td.org/magazines/td-magazine/convert-your-classroom-training-to-virtual-training

※この記事は、オリジナル記事の一部の概要を紹介するものです。正確な内容はオリジナル記事をご参照ください。


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