「デザイン思考」に基づく学習者体験

多くの企業の人事担当者さんはそろそろ新人研修の準備に大忙しなのではないでしょうか?

本日は、少し前のものになりますが、ATDのTDマガジン11月号に寄稿されたCegos社Director、Marie-Laure Curie氏の記事をシェアさせていただきます。

この記事では、Curie氏らCegos社で「デザイン思考」のアプローチに従って学習者体験を高めている方法が紹介されています。

効果的な学習者体験を提供するには、学習者が求めることを知り、学んだことが容易に転移され、学習に対して肯定的な感情で取り組めるような方法を学習者の視点に立って考える必要があります。

これには「デザイン思考」を取り入れることが有効だそうです。

デザイン思考に基づく学習者体験(Learner eXperience)アプローチ 

Wednesday, November 01, 2017 - by Marie-Laure Curie https://www.td.org/Publications/Magazines/TD/TD-Archive/2017/11/Embracing-the-Learner-Experience-Approach 


学習を1回限りのアクティビティから「長い旅」に切り替え、感情の力を利用する競合優位性を保ちたい企業にとって、顧客体験 (CX: customer experience) やユーザー体験 (UX: user experience) アプローチは、もはや単なるオプションではありません。 

この体験リストに、従業員体験、採用候補者体験、そして私たちが常に心に留めておく必要のある「学習者体験」 (LX: learner experience) も加わる可能性があります。


学習者体験とは? 

学習者(従業員)の学習ニーズは明確です。

「成果を出すまでの時間を短くし、マルチタスクでアジャイルであること」です。

現代の学習者はモバイルなどデジタルツールを使い、時間や場所を問わずにさまざまなリソースにアクセスしますが、常に情報に圧倒されています。

 だから「自分の疑問に対する答えを直ちに得ること」を期待しており、学習への要求が次第に複雑かつ高度になっているのです。

 学習者は、個別化され、職場でオンデマンドに得られる学習体験を求めています。

 また、学習者は自分の能力開発を自分でコントロールしたいと考えています。

 人材開発部門は必死で学習者の注意を引きつけようとしています。

 しかし、それが学習者にとって適切なタイミングかつ、適切なリソースを与えなければ、彼らは人材開発部門を頼ることなく、Googleなど、社外のリソースにアクセスしてしまうはずです。

学びの仕組み・感情がモチベーションに影響することは誰でも知っています。

モチベーションは、学ぶことや、学んだことを実際に適用する上での重要な鍵となります。 

また、研究によると、学習や記憶のプロセスに感情が直接的に影響を与えることが明らかになっています。

 だから、学習者のニーズを満たし、学んだことを簡単に転移できるようにすることに加え、肯定的な感情を生み出すような学習体験を提供することが重要なのです。


 無味乾燥で感情に訴えかけないコンテンツや複雑な学習パスウェイを学習者に押し付ける方法は、もはや有効ではありません。 

これからの学習設計には最良の学習体験を与えるような学習者中心のアプローチを採用する必要があります。

 LX (学習者体験)の目的は、学習者をアッといわせ、確実にエンゲージさせるような効果を作り出し、学習者にとって意味のある、関連性の高い価値ある学習内容を用意し、学習の行程全体が簡単で整理され、一貫して肯定的感情をもたらすようにすることにあります。 

こうしたことは、新たな知識やスキルを職場で適用したり、行動の変化を最大限に促す上で不可欠です。

ガイドライン :学習者をアッといわせるような体験(“wow”体験)を作り出し、学習者にとって意味のあるコンテンツを提供するには、「デザイン思考のアプローチ」が有効です 


1.発見フェーズ

最初のステップでは、まずソリューションについて考えます。 

このとき、学習者が何を必要とし、求めているのか、どのような形式の学習やデジタルツールを使うのかを自分やスポンサーの推測のみに頼って判断するのではなく、 問題解決のアプローチに従って、学習者の立場など、別の視点から問題を検討します。

単に先に進めるのではなく、そのトレーニングが誰を対象としているのかを理解し、学習者が解決する必要のある問題やその根本原因を特定するための質問をします。

その答えは、スポンサーに尋ねるのか、学習者に尋ねるのかによって変わってきます。そして大抵の場合、問題を再定義することになります。

学習者の一部と話して、そのトレーニングが解決しようとしている問題についての意見を聞き、学習が好む学習形式や時間、インタラクション、学習者にとっての制約のほか、学習者が使うことになるツールやシステムについてさらに多くの情報を収集します。

 学習ギャップを埋めるために、学習者が現在自分でアクセスしているリソースを特定します(社内および社外)。

 そこから得られた洞察を解釈すれば、学習者のペルソナを作ることができます。 このようにすれば、それぞれのペルソナについて、トレーニングの目的を明確にすることができます(学習アクティビティが終了したら、学習者がそれまでとはどのように違っているか)。 これは、デザインやプロジェクト効果指標(期待に対する見返り)を考えるときの情報となります。

 

2.デザインフェーズ

デザインフェーズでは、コンテンツ、エンゲージメント、学習形式に関連する学習者のニーズを満たすような包括的な行程を作ります。 これは、典型的な学習デザインのアプローチとは大きく違いますが、この方法を受け入れる必要があります。 

もはや、学習アクティビティが単独の1回限りのものであると考えていてはなりません。そうではなく、すべての学習アクティビティを1つのプロセスの一部であると考えます。これには、コースを探して登録したり、それを修了して診断を受けたり、ドキュメントをアップロードすることまでが含まれます。 

これは、単にはじめの部分だけではなく全体を通じて、興味深く、整理され、魅力的な行程をデザインすることを目的として行います。 学習がオンラインであろうと対面式であろうと、上記のステップのいくつかを行う必要があります。 そのそれぞれが、学習者にとって煩わしくなく、「wow」体験を与えてくれるようなものである必要があります。 これはつまり、学習プロセスをシンプルにし、デジタルを使用する場合には素晴らしいUXを用意し、苦痛がないようにし、興味深く関連性があり、簡単に転移できるようなコンテンツを作る必要があることを意味します。 

学習の行程を提供するときには、さまざまな人が関与することにも留意する必要があります(たとえば、トレーナー、メンター、コーチング、スーパーバイザー、LMS管理者)。 このような人たちはすべて、学習行程のいずれかの部分に関与することになり、最良の体験を学習者に提供するLXアンバサダーとしての役割を果す必要があります。 デザインフェーズに欠かせないもう1つのステップは、学習者が自分の知識やスキルのギャップを埋めるために現在アクセスしているリソースを特定し、それを収集し、評価するキュレーション作業です。 学習者をリソースで圧倒することはよくありませんが、参照すべき重要なリソースもあります。 この場合も、学習者からこうした情報を入手します。


 3.プロトタイピングと繰り返しのフェーズ

デザインフェーズが完了したら、開発フェーズに進む前に、スポンサーと共に(理想的には学習者も含めて)自分のアプローチをテストします。 そして、必要に応じて繰り返します。 テストすることは、複雑な学習アクティビティを大規模に展開する場合、特に重要です。 そして必要に応じて、修正や調整を行います。 デザイン思考では、これはプロトタイピング・繰り返しステップと呼ばれています。 LMSやエンタープライズソーシャルネットワークのおかげで、タレント開発の実務家は貴重なデータにアクセスすることができます。 このようなデータポイントを注意深く分析し、必要に応じて、行程や学習コンテンツを定期的に繰り返し見直します。


結果 、Cegosの4REAL (real, efficient, adapted learning)モデルは、効果的な学習ソリューションをデザインする際にLXの必要性を重視しています。 

だから弊社の学習デザイナーは、作業プロセスの最初のステップとして、関係者に具体的な質問を行い、学習者と話をすることが必須になっています。 タレント開発の専門家は、LXによるパラダイムシフトを採り入れることによって、ソリューションをコントロールできなくなるように感じている人もいます。LXには時間や費用がかかり、自分たちのコンフォートゾーンを超えていると考えているのです。 しかし最終的には、LXによってもたらされる価値、学習者の満足度、パフォーマンスやエンゲージメントへのインパクトを考えれば、行うだけの価値があります。

チェックリスト: 学習者体験を高めるための方法

· スポンサーと学習者両方に質問して、重要な洞察を得る。

· 新たな学習ソリューションが解決する必要のある問題を再定義する。

· 学習者が自分のギャップを埋めるために現在使っているリソースを特定する。

· 学習者のペルソナを作る。

· 学習者が進む行程全体を考える。

· 関係者全員を関与させる。

· ソリューションをテストし、 開発や導入を行う前に繰り返す。

· データを収集、モニタリング、分析し、必要に応じて繰り返す。


Resources Cegos. 2016. Innovation Handbook: The Changing Face of Training: 7 Questions to Build the Future. Chapter 6. http://static.cegos.com/wp-content/uploads/07122618/Cegos-Innovation-handbook_The-changing-face-of-training.pdf. Floor, N. 2016. “This is Learning Experience Design.” www.linkedin.com/pulse/learning-experience-design-niels-floor. IDEO. 2013. Design Thinking for Educators.


UMUは学習者・学習提供者それぞれにとっての体験を強く意識・デザインしたラーニングプラットフォームです。

UMUは、UMUを使って学習コースを設計していく中で自然と「学習関係者それぞれにとっての最良」の解を導けるようなUX(顧客体験)を目指しています。

UMUのラーニングテクノロジーが最も受け入れられやすいかたちで学習デリバリーの効果性・効率性・そして生産性を無理なく引き上げます。

もし今までの学習のあり方に課題を感じ、それを効果的なモノに変えたいのであれば是非UMUにご相談下さい。


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